
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」
希薄水溶液中における酸の強さ(酸性度)の比較(フッ化水素と塩化水素、トリフルオロ酢酸と酢酸、エタノールと酢酸、フェノールとエタノール)に関する正誤判定問題。
希薄水溶液中における酸の強さの比較に関する4つの記述(ア)〜(エ)のうち、正しいものの組合せを選ぶ問題。
① 酸の強さで覚えること: HFは弱酸、HClは強酸(ハロゲンでもHFだけ例外)。フッ素が付くと酸は強くなる。強さの順は酢酸>フェノール>エタノール
② (ア)HFの方が強いは誤で③④⑤。(エ)フェノールはエタノールより強い(酸性度が高い)ので誤。(イ)(ウ)は正
③ イ・ウ(③)
(ア)塩化水素(HCl)は水溶液中でほぼ完全に電離する強酸だが、フッ化水素(HF)は弱酸であり、フッ化水素の酸性度が塩化水素より高いという記述は誤り。(イ)トリフルオロ酢酸はフッ素原子の強い電子吸引効果によりカルボキシ基の水素が解離しやすくなり、酢酸よりも強い酸になるため正しい。(ウ)エタノール(pKa約16)は酢酸(pKa約4.76)よりはるかに弱い酸であり、正しい。(エ)フェノールはフェノキシドイオンがベンゼン環との共鳴により安定化されるため、エタノールより強い酸(酸性度が高い)であり、「フェノールの酸性度はエタノールより低い」という記述は誤り。したがって正しいのはイとウであり、③が正しい。
酸の強さは、電子吸引性の置換基(フッ素など)があると解離後の共役塩基が安定化され強くなる(トリフルオロ酢酸>酢酸)。また共役塩基が共鳴で安定化される場合も酸性度が上がる(フェノール>エタノール)。ハロゲン化水素酸ではHF(弱酸)とHCl(強酸)のような例外があることも覚えておく。
キーワード: 酸の強さ、酸性度、電子吸引効果、共鳴安定化、材料・化学・バイオ