令和2年度 I-1-2

科目: 基礎科目 / 分野: 設計・計画 / 年度: 令和2年度

I-1-2 問題画像

出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」

応力S(正規分布)と強度R(正規分布)が独立な確率変数であるとき、Z=R-Sが0を下回る確率Pr(Z<0)を、平均・標準偏差の異なる4つのケースについて小さい順に並べる信頼性設計の問題。信頼性指標(reliability index)の計算が必要。

解説

この問題で問われていること

応力Sと強度Rがそれぞれ独立な正規分布に従うとき、Z=R-Sが0を下回る確率Pr(Z<0)(いわゆる破壊確率)を、平均・標準偏差の比が異なる4つのケース(ア)〜(エ)について計算し、小さい順に並べる問題。

解き方

① Z=R−Sは平均μR−μS、分散σR²+σS²の正規分布。β=(平均の差)÷√(分散の和)が大きいほどPr(Z<0)は小さい
② ア: 4/√9≒1.33、イ: 3/√9=1.0、ウ: 3/√4=1.5、エ: 1/√2≒0.71
③ βの大きい順ウ→ア→イ→エ(④)

正解が正しい理由

ZはR-Sであり、独立な正規分布の差なので、Z~N(μR-μS, σR²+σS²)に従う。Pr(Z<0)は、信頼性指標β=(μR-μS)/√(σR²+σS²)が大きいほど小さくなる(安全側になる)。各ケースのβを計算すると、(ア)は(14-10)/√(1+8)=4/3≒1.33、(イ)は(13-10)/√(8+1)=3/3=1.0、(ウ)は(12-9)/√(3+1)=3/2=1.5、(エ)は(12-11)/√(1+1)=1/√2≒0.71となる。βが大きいほどPr(Z<0)は小さいため、βの大きい順(ウ>ア>イ>エ)がPr(Z<0)の小さい順に対応する。したがってウ→ア→イ→エの順である④が正しい。

この問題で必要な基礎

■ 差をとっても分散は足し算
Z=R−Sのように、独立な2つの量の差をとると、平均は差(μR−μS)になりますが、ばらつきの大きさを表す分散(標準偏差の2乗)は足し算(σR²+σS²)になります。強度と応力のどちらのばらつきも、Zのばらつきを増やす方向にしか働かないためです。

■ βの意味
β=(μR−μS)÷√(σR²+σS²)は、「Zの平均が0から、Zの標準偏差の何個分だけ離れているか」を表します。これが大きいほど、Zが0を下回る(壊れる)ことは起こりにくくなります。そのため、Pr(Z<0)の小さい順は、βの大きい順と同じです。

各選択肢について

覚えるべきポイント

強度Rと応力Sがともに正規分布に従う場合、破壊確率Pr(R<S)=Pr(Z<0)は、信頼性指標β=(μR-μS)/√(σR²+σS²)(標準正規分布の観点での「安全余裕」)によって決まり、βが大きいほど破壊確率は小さくなる。単純に平均の差だけでなく、標準偏差(ばらつき)も考慮した比較が必要である点に注意する。

キーワード: 信頼性指標、破壊確率、正規分布、設計・計画