
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」
両端を固定壁に固定された線形弾性体の棒(断面積0.1m²、長さ2.0m、縦弾性係数2.0×10³MPa、線膨張率1.0×10⁻⁴K⁻¹)の温度が10℃から30℃に上昇したときに生じる熱応力を求める問題。
両端が固定された棒の温度が10℃から30℃に上昇したとき、棒の熱膨張が両端の固定によって拘束されることで生じる熱応力の大きさと種類(引張・圧縮)を求める問題。
① 両端固定の棒の熱応力σ=E×α×ΔT(断面積・長さは関係ない)。温度が上がると圧縮
② 2.0×10³×1.0×10⁻⁴×20=4.0MPa
③ 4.0MPaの圧縮応力(③)
両端が固定されているため、温度上昇による棒の伸びは完全に拘束され、あたかも棒を強制的に元の長さに押し縮めたのと同じ状態になる。熱応力はσ=E・α・ΔTで計算でき、ΔT=30-10=20℃、E=2.0×10³MPa、α=1.0×10⁻⁴K⁻¹を代入するとσ=2.0×10³×1.0×10⁻⁴×20=4.0MPaとなる。温度が上昇して棒が膨張しようとするのを固定壁が押し返す形になるため、棒には圧縮応力が生じる。したがって③(4.0MPaの圧縮応力)が正しい。
■ 熱膨張
物体は温度が上がると伸びます。線膨張率αは「温度が1℃(1K)上がると、長さが何割伸びるか」を表し、自由に伸びられるなら、伸びの割合(ひずみ)はα×温度変化になります。
■ 両端が固定されていると応力が生じる理由
両端が固定されていると、棒は伸びたくても伸びられません。これは、自由に伸びた棒を壁が押し縮めて元の長さに戻しているのと同じ状態です。押し縮めたひずみの大きさはα×ΔTなので、フックの法則(応力=ヤング率×ひずみ)から、応力はE×α×ΔTになり、向きは圧縮です。断面積や長さは結果に関係しません。
■ 温度差の単位
温度の「差」は、℃で測ってもK(ケルビン)で測っても同じ値です(30℃−10℃=20K)。
両端が固定された部材の温度変化による熱応力はσ=E・α・ΔTで計算できる(断面積は関係しない)。温度が上昇すれば部材は圧縮応力を受け、温度が低下すれば引張応力を受けるという向きの関係も併せて押さえておく。
キーワード: 熱応力、線膨張率、拘束、解析