
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」
速度伝達比が30で動力伝達効率がほぼ100%の歯車装置において、入力軸と出力軸の回転数の関係、およびトルクの関係を問う問題。速度伝達比とトルク比の逆比の関係の理解が必要。
速度伝達比(入力軸角速度÷出力軸角速度)が30、動力伝達効率がほぼ100%で滑りのない歯車装置について、入出力軸の回転数の関係と、伝達されるトルクの関係を問う問題。
① 動力=トルク×回転の速さは、入力と出力で同じ。回転が1/30になればトルクは30倍
② 速度伝達比30=入力軸が30回転する間に出力軸が1回転 → 出力軸のトルクは約30倍
③ ③
速度伝達比が30ということは、入力軸の角速度ω_inが出力軸の角速度ω_outの30倍(ω_in=30ω_out)であり、入力軸が30回転する間に出力軸は1回転する(減速)。動力伝達効率がほぼ100%であれば入力側の動力と出力側の動力はほぼ等しく(T_in・ω_in ≒ T_out・ω_out)、T_out = T_in・(ω_in/ω_out) = 30・T_in となる。すなわち出力軸のトルクは入力軸のトルクのほぼ30倍になる。したがって③が正しい。
■ トルクと動力
トルクは、軸を回そうとする力の強さ(力×回転の中心からの距離)です。動力は「1秒あたりにする仕事」で、回転の場合はトルク×角速度(回る速さ)で表されます。
■ 効率100%なら動力は入力と出力で同じ
歯車装置は動力を増やすことも減らすこともしない(効率ほぼ100%)ので、入力側のトルク×角速度と出力側のトルク×角速度は等しくなります。そのため、回転が遅くなる側ではトルクが大きくなり、回転が速くなる側ではトルクが小さくなります(自転車の軽いギアで、ペダルを多く回すほど小さな力で坂を上れるのと同じ関係です)。
動力伝達効率がほぼ100%の歯車装置では、動力(トルク×角速度)が入出力でほぼ保存されるため、角速度が速度伝達比の分だけ小さくなる出力軸側では、トルクはその逆比、つまり速度伝達比倍に増加する。「速い回転・小さいトルク」から「遅い回転・大きいトルク」への変換という関係を押さえておく。
キーワード: 速度伝達比、歯車装置、トルク、動力伝達効率、設計・計画