令和6年度 I-1-6

科目: 基礎科目 / 分野: 設計・計画 / 年度: 令和6年度

I-1-6 問題画像

出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」

独立に製造された2軸の長さの和(接続)、および軸と軸受のはめあいのすき間寸法(差)が、それぞれどのような正規分布に従うかを問う問題。独立な正規分布の和・差の分布の性質の理解が必要。

解説

この問題で問われていること

独立に製造された軸A1・A2の長さの和、および独立に製造された軸B1の外径と軸受B2の内径の差(すき間寸法)が、それぞれどのような正規分布N(平均, 分散)に従うかを問う問題。

解き方

① 独立な量の和・差: 平均は和・差、分散は和でも差でも常に足し算
② ア(長さの和): N(μA1+μA2, σA1²+σA2²)、イ(すき間=内径−外径): N(μB2−μB1, σB2²+σB1²)
③ ③

正解が正しい理由

互いに独立な正規分布に従う確率変数の和・差は、いずれも正規分布に従い、平均は元の平均の和・差、分散は(和・差によらず)常に元の分散の和になる。軸A1・A2の長さの和については、平均はμA1+μA2、分散はσA1²+σA2²となるため、アはN(μA1+μA2, σA1²+σA2²)である。すき間寸法(軸受B2内径−軸B1外径)は差であるため平均はμB2−μB1(μB2>μB1なので正)となるが、分散は差であっても独立な確率変数どうしの分散は加算されるため、イはN(μB2−μB1, σB2²+σB1²)である。したがって③が正しい。

この問題で必要な基礎

■ N(μ, σ²)の意味
正規分布N(μ, σ²)は、平均がμ、ばらつきの大きさ(分散)がσ²の分布を表します。σ²が大きいほど、値が平均から大きく外れやすくなります。

■ 差をとっても分散が足し算になる理由
軸の外径と軸受の内径は、それぞれ独立にばらつきます。すき間は「内径−外径」ですが、内径が大きめに外れても、外径が小さめに外れても、すき間は大きくなります。どちらのばらつきも、すき間のばらつきを増やす方向にしか働かないので、差であっても分散は足し算になります(分散が引き算で小さくなることはありません)。

各選択肢について

覚えるべきポイント

独立な確率変数X, Yが正規分布に従うとき、X+YもX−YもいずれもV(X)+V(Y)を分散とする正規分布に従う(平均は和の場合E[X]+E[Y]、差の場合E[X]−E[Y])。「差をとるから分散も引き算」という誤解をしないよう注意する。

キーワード: 正規分布、はめあい、公差、設計・計画