令和5年度 I-3-5

科目: 基礎科目 / 分野: 解析 / 年度: 令和5年度

I-3-5 問題画像

出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」

モータと動力伝達効率1の変速機、慣性モーメントIの円盤からなる回転軸系において、円盤を角速度ω1からω2に増速するために必要なモータ出力軸のトルクτを求める問題。変速機の速度比と動力保存の関係の理解が必要。

解説

この問題で問われていること

変速機の入力軸(モータ出力軸に直結)と出力軸(慣性モーメントIの円盤に直結)の回転速度比が1:1/n(n>1)である回転軸系において、円盤を時間Tの間に角速度ω1からω2に一定の角加速度で増速するために必要なモータ出力軸のトルクτを求める問題。

解き方

① 回転の運動方程式: トルク=慣性モーメント×角加速度。変速機は動力(トルク×角速度)をそのまま伝える
② 円盤側に必要なトルクはI(ω2−ω1)/T。モータは円盤のn倍速く回るので、必要なトルクはその1/n
③ τ=(1/n)×I×(ω2−ω1)/T(②)

正解が正しい理由

変速機の入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の比が1:1/nであることから、入力軸の角速度ω_inと出力軸(円盤側)の角速度ω_outの関係はω_in=n×ω_outとなる。円盤を角加速度(ω2-ω1)/Tで増速するために変速機の出力軸に必要なトルクT_outは、運動方程式よりT_out=I×(ω2-ω1)/Tである。変速機の動力伝達効率が1(損失なし)であるため、入力側の動力と出力側の動力は等しく、T_in×ω_in=T_out×ω_outが成り立つ。これよりT_in=T_out×(ω_out/ω_in)=T_out×(1/n)=(1/n)×I×(ω2-ω1)/Tとなる。モータ出力軸は変速機入力軸に直結しているため、モータ出力軸のトルクτはこのT_inに等しく、τ=(1/n)×I×(ω2-ω1)/Tとなる。したがって②が正しい。

この問題で必要な基礎

■ 回転の運動方程式
直線運動の「力=質量×加速度」に対応して、回転では「トルク=慣性モーメント×角加速度」が成り立ちます。慣性モーメントIは回しにくさ、角加速度は回転の速さが1秒あたりどれだけ増えるかです。この問題では角加速度が(ω2−ω1)/Tと与えられているので、円盤を回すのに必要なトルクはI×(ω2−ω1)/Tです。

■ 変速機で動力は変わらない
動力(1秒あたりの仕事)は、回転ではトルク×角速度です。効率1の変速機は動力をそのまま伝えるので、入力側と出力側でトルク×角速度が等しくなります。この問題の変速機は出力側が入力側の1/nの速さで回る(減速する)ので、入力側(モータ側)に必要なトルクは、出力側の1/nで済みます。

各選択肢について

覚えるべきポイント

動力伝達効率が1(理想的)な変速機では、入力側と出力側で動力(トルク×角速度)が保存される。この問題のように出力側が入力側の1/nの速さで回る(減速する)場合、出力側のトルクは入力側のn倍になり、逆にモータ側(入力側)に必要なトルクは出力側の1/nで済む、という「速度とトルクのトレードオフ」の関係を理解しておくことが重要である。

キーワード: トルク、慣性モーメント、変速機、解析

出題履歴

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