
出典:公益社団法人 日本技術士会「技術士第一次試験 過去問題」
長さL・抵抗rの導線を接続した3種類の回路(a)ひし形にブリッジ、(b)2×2の格子、(c)2×1の格子のAB間の合成抵抗R_a、R_b、R_cの大小関係を求める問題。
(a)〜(c)の各回路のAB間の合成抵抗R_a、R_b、R_cを求め、大小関係を選ぶ問題。1本の導線の抵抗をrとする。
① 使うのは、オームの法則(電圧降下=抵抗×電流)と電流則(節点で入る電流=出る電流)。合成抵抗=電圧÷全電流。電圧は仮に置いてよい(何Vでも答えは同じ)。対称な点は同電位で、その間の導線には電流が流れない。同じ抵抗2本の並列は半分
② (a)ひし形: 真ん中の縦の導線は無視でき、2r∥2r=r(最小)
(b)2×2の格子: 【仮定】Aを1V、Bを0Vとおく(Aは左上、Bは右下の角)。対称性から中心は1/2V、残り2つの角も1/2V。Aの隣の2点は同電位なので、その電位を未知数xとおく。Aの隣の点に入る電流の合計=0: (1−x)+(1/2−x)+(1/2−x)=0 → x=2/3。Aから出る電流=2×(1−2/3)/r=2/(3r) → 1.5r
(c)正方形2つ: 【仮定】Aを1V、Bを0Vとおく(Aは左上、Bは右下)。未知数: 上中央の電位t、右上の電位u。図を180°回すとAとBが入れ替わるので、下中央=1−t、左下=1−u。上中央に入る電流の合計=0: (1−t)+(u−t)+(1−2t)=0(Aから、右上から、下中央から)。右上に入る電流の合計=0: (t−u)+(0−u)=0(上中央から、Bから)。→ t=4/7、u=2/7。Aから出る電流=(1−4/7)/r+u/r=5/(7r) → 1.4r
③ Ra=r、Rb=1.5r、Rc=1.4r → Ra<Rc<Rb(②)
(a)ひし形の対角の中央の導線は、左右対称のため両端の電位が等しく電流が流れない。よって、A→上→B(2r)とA→下→B(2r)の並列となり、R_a=2r∥2r=r。(b)2×2の格子でA(左上)からB(右下)を見る。A=1、B=0の電位とすると、対称性から中心は0.5、Aに隣接する2点は2/3、Bに隣接する2点は1/3となる。Aから流れ出る電流は2×(1−2/3)/r=2/(3r)なので、R_b=1.5r。(c)2×1の格子で、Aの電位を1、Bを0として節点方程式を解くと、Aに流れ出る電流は5/(7r)となり、R_c=7r/5=1.4r。したがってR_a=r<R_c=1.4r<R_b=1.5rとなり、②が正しい。
■ オームの法則
抵抗Rに電流Iが流れると、抵抗の前後で電圧が R×I だけ下がります(この下がる分を「電圧降下」と呼びます)。電圧=抵抗×電流と同じ意味です。
■ キルヒホッフの電流則(第1法則)
道が分かれたり合流したりする点(節点)では、入ってくる電流の合計と、出ていく電流の合計は等しくなります。水の流れが途中で消えたり増えたりしないのと同じです。
■ キルヒホッフの電圧則(第2法則)
回路を出発点からぐるっと1周して戻ると、電圧の上がり下がりの合計は0になります。山を登って降りたら元の高さに戻るのと同じです。ある点からある点までの電圧は、途中の抵抗ごとの電圧降下を足したものになります。
■ 直列・並列
直列: r₁+r₂、並列: 1/R=1/r₁+1/r₂(同じ抵抗が2本ならr/2)
■ 等電位の点
対称な位置の点は電位が等しく、その間の導線には電流が流れません。回路(a)は上下対称なので、上の頂点と下の頂点は同電位で、その間の縦の導線は無いものとして計算できます。
対称な回路では、対称な位置の節点の電位が等しくなることを利用して(等電位の点を短絡または開放として扱って)簡単に計算できる。ブリッジ回路が平衡(対角線上の導線に電流が流れない)している場合は、その導線を取り除いて直並列で計算する。
キーワード: 合成抵抗、ブリッジ回路、格子回路、対称性、解析
同じ問題が計2回出題されています(平成29年度、令和5年度)。